個人番号の収集と保管

執筆者:影島 広泰(弁護士)

民間企業におけるマイナンバー法対応とは、
①個人番号の提供を受けて
②保管し
③行政機関等に提出する書類に記載する
の3ステップです。

個人番号の収集

従業員、従業員の配偶者・扶養親族の個人番号の収集

従業員、ならびに従業員の配偶者および扶養親族の個人番号は、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」によって収集するのが最も簡単でしょう。

2015年11月ころ始まる年末調整の際に、従業員は、「平成28年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を会社に提出することになると思いますが、同申告書には、従業員、ならびにその控除対象配偶者および扶養親族の個人番号が記載されています。

同申告書の提出により、これらの者の個人番号の収集は完了することになります。

個人番号の提供を受ける際には必ず本人確認をしなければなりませんが、扶養控除等(異動)申告書においては、控除対象配偶者及び扶養親族の個人番号については、従業員本人が本人確認する義務を負っており、会社としては本人確認をする義務がありません。

したがって、会社としては、従業員本人の個人番号のみを確認するだけで構いません。

従業員本人の本人確認としては、番号確認と身元(実在)確認の両者が必要となりますが、会社が従業員の氏名などをプレ印字して配布している場合、入社時に運転免許証などによる本人確認を行っている会社が従業員から対面で提供を受ける場合、または2回目以降に対面で提供を受ける場合には、身元(実在)確認は不要です。

初回(平成28年分の給与所得者の扶養控除等(異動)申告書)の本人確認
  番号確認 身元(実在)確認
従業員 通知カード
住民票の写し
運転免許証、旅券、その他顔写真付き身分証明書
※入社時に本人確認していて対面の場合は不要
会社でプレ印字している場合も不要
控除対象配偶者
扶養親族
不要 不要
2回目以降の本人確認
  番号確認 身元(実在)確認
従業員 個人番号カード
通知カード
住民票の写し
※提示が困難であれば、会社が作成したデータベースとの照合でよい
運転免許証、旅券、その他顔写真付き身分証明書
対面で受領する場合は不要
会社でプレ印字している場合も不要
控除対象配偶者
扶養親族
不要 不要

このようにして扶養控除等(異動)申告書で収集した個人番号は、利用目的として社会保険関係の手続を通知または公表しておけば、社会保険関係の手続でも利用することができます。

取引先の個人番号の収集

支払調書を提出する取引先からは、郵送でも構いませんので

  • 個人番号カード
  • 通知カードもしくは住民票
  • 運転免許証もしくは旅券

などの提示を受けて、個人番号の提供を受ける必要があります。

株主の個人番号の収集

株主との関係では、2015年10月以降の株主総会招集通知に

  • 個人番号カード
  • 通知カードもしくは住民票
  • 運転免許証もしくは旅券などのコピー

を添付して番号を提供するように求める書面を、返信用封筒を同封した上で送付する必要があるでしょう。

個人番号カードの発行は2016年1月からであるため、2015年の年末調整において個人番号カードで本人確認することは現実的ではありません。

個人番号の保管

個人番号の保管に関しては、第2回コラム(中小企業の実務への影響)で述べたとおり厳しい規制があります。

また、取扱いについての記録が義務づけられていることから、システムログを記録するためにITシステムを導入・更改しなければならない中小企業も多いと思われます。

例えば、従業員の情報をエクセルで管理している会社などは、どうやってシステムログを導入するのか頭を悩ませることになるのではないでしょうか。

これを回避する有力な手段として、クラウド・サービスを利用したり、税理士事務所・社労士事務所等に特定個人情報の取扱いを全面的に委託するなどして、会社として特定個人情報を保管しないようにすることが考えられます。

そうすれば、自らが特定個人情報を保管するための安全管理措置は必要なくなり、委託者としての監督義務、すなわち、(1)特定個人情報を適切に取り扱い、取扱い状況を把握することができる業者・サービスを選定し、(2)番号法ガイドラインに準拠した契約を締結すれば、会社としての義務を果たしていることになるからです。

なお、この点は、個人番号の保管の場面だけではなく、個人番号の収集についても同様です。

大手企業では、ワークフローのシステムを用いて、本人確認書類(通知カード等と運転免許証等)の画像ファイルを従業員にアップロードさせることで、本人確認の書類を電子的に収集して省力化しようとしているところがありますが、中小企業においては、個人番号の収集にも対応したクラウド・サービスを利用することで、同じような利便性と情報管理の安全性を同時に実現することができます。

もちろん、税理事務所や社労士事務所等に個人番号の収集を委託することも可能ですので、これによっても、収集の際の本人確認の際の事務負担を大幅に軽減することが可能となります。

行政機関等への提出

最後に、収集し保管しておいた個人番号を、帳票へ出力して行政機関に提出することになります。この部分は、税理士事務所や社労士事務所に委託したり、パッケージ・ソフトを利用するなどして、これまでどおり行うことになります。

なお、委託関係については、番号法ガイドラインに従って見直しが必要となりますので、注意が必要です。

マイナンバーコラム

個人番号の収集と保管 影島 広泰(弁護士)
委託によるリスクの転嫁 影島 広泰(弁護士)
税務関連関連の実務への影響 小島 孝子(税理士)
中小企業の実務への影響 影島 広泰(弁護士)
マイナンバーとは 影島 広泰(弁護士)

※当コンテンツは協力企業によりご提供いただいた記事のため、当サイト外にリンクされる場合があります。ご了承下さい。

マイナンバーワークス

マイナンバーコラム

個人番号の収集と保管
影島 広泰(弁護士)
委託によるリスクの転嫁
影島 広泰(弁護士)
税務関連関連の実務への影響
小島 孝子(税理士)
中小企業の実務への影響
影島 広泰(弁護士)
マイナンバーとは
影島 広泰(弁護士)