中小企業の実務への影響

執筆者:影島 広泰(弁護士)

マイナンバー制度の開始に伴って、民間企業においても、税務署や市区町村に提出する源泉徴収票や支払調書、報告書などに個人番号・法人番号を記載する必要が生じます。また、健康保険・厚生年金保険や雇用保険等の社会保険分野の書類にも従業員等の個人番号を記載しなければなりません。

誰の個人番号を取得する必要があるか

民間企業が個人番号を取得する必要がある相手方は次のとおりです。

従業員 税務関係の帳票、社会保険関係の帳票に記載するため
従業員の配偶者や扶養親族等 税務関係の帳票、社会保険関係の帳票に記載するため
取引先(支払調書を提出する取引のみ) 税務関係の帳票(支払調書)に記載するため
株主・出資者 税務関係の帳票(支払調書)に記載するため
顧客(金融機関のみ) 税務関係の帳票に記載するため

個人番号の取得・保管・利用・提供・廃棄

第1回コラム(マイナンバーとは)で述べたとおり、個人番号・特定個人情報の取得、保管、利用、提供等には厳しい制限があります。そのため、情報管理についても、個人情報とは異なった取り扱いが必要となります。個人情報との大きな違いは、書類やデータの廃棄・削除が義務づけられていることと、取り扱いについての記録を残すことが義務とされていることの2点にあります。

書類やデータの廃棄・削除義務

特定個人情報は、行政機関等に個人番号を記載した書類を提出する事務を行うために必要な場合のみ保有してよいとされています。そのような事務を行う必要がなくなり、かつ書類の法定保管期間が経過した場合には、できるだけ速やかに、個人番号が記載された書類やデータを廃棄または削除しなければなりません。この点は、個人情報保護法と大きく異なっていますので、注意が必要です。

取り扱い記録を残す義務

①取扱規程等に基づく運用状況を確認するため、システムログ又は利用実績を記録する

②特定個人情報ファイルの取扱状況を確認するための手段を整備する

③個人番号もしくは特定個人情報ファイルを削除した場合、又は電子媒体等を廃棄した場合には、削除又は廃棄した記録を保存する

ただし、従業員が100人以下の「中小規模事業者」において、上記①及び②は特定個人情報等の取扱状況の分かる記録を保存すること、③は特定個人情報等を削除・廃棄したことを、責任ある立場の者が確認することで足りるとされています。しかし、個人番号関係事務実施者(民間企業)から委託を受けて特定個人情報を取り扱う事業者(会計事務所や社会保険労務士事務所など)は、「中小規模事業者」にはあたりませんので、注意が必要です。

委託・再委託・再々委託などについての方法と注意点

個人情報保護法と同様、マイナンバー法においても、特定個人情報の取り扱い(個人番号関係事務の処理)を第三者に委託することができます。したがって民間企業が、会計事務所や社会保険労務士事務所、ITベンダーのクラウド・サービスなどに特定個人情報の取り扱いを委託することは可能です。

その場合は、委託先において、番号法に基づき委託者自らが果たすべき安全管理措置と同等の措置が講じられるよう必要かつ適切な監督を行わなければなりません。したがって、会計事務所や社会保険労務士事務所、ITベンダーなどは、委託者において果たすべき安全管理措置を講じていなければ特定個人情報の取り扱いを委託してもらえないことになりますので、注意が必要です。

なお、再委託・再々委託などは可能ですが、すべて最初の委託者の許諾が必要となりますので、この点についても留意が必要です。

詳しくは コラム「委託によるリスクの転嫁」で解説しています。

マイナンバーコラム

個人番号の収集と保管 影島 広泰(弁護士)
委託によるリスクの転嫁 影島 広泰(弁護士)
税務関連関連の実務への影響 小島 孝子(税理士)
中小企業の実務への影響 影島 広泰(弁護士)
マイナンバーとは 影島 広泰(弁護士)

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マイナンバーワークス

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